イチョウの落ち葉

絵を描いていることがこんなにも幸せで奇跡のようなことだってこと
うかうかしてると忘れてしまう。

そして、わたしは何度も繰り返しながらも
この奇跡のような体験を思い出す。

わたしが10年以上、細々と絵を描いているなかで
変わらないことがひとつある。

「あぁ、まだ絵を描くことが大好きでありがたい。」

わたしはきっと
描くことが好きでなくなったり
他に大切なものを見つけたら
あっさりとクレヨンを手放すとわかっている。

絵を描くことに、それほど執着はなく
クレヨン画のMELという肩書も
描いている最中には何処へやら。

まっさらな自分に戻る瞬間に
肩書も名前すらもわたしには意味がないんだ。

そして、何度も思う。

「あぁ、わたしまだ絵を描くことが好きなんだね」って。

制作スイッチを自分が押していると勘違いしていた若かれし時。
何かを目指したり挑戦することに夢中になってた20代。
そんな時があったからこそ、わたしは今この自由さと無限さを肌で感じることができるんだ。

どうか、わたしのこのわがままを許してください。

わたしは絵を描くことで世界を変えようなんて、これっぽちも思わない。
誰かを救いたいとか、何かの役にたちたいとか。
そんなエッセンスが一滴でも入ったら
たちまち迷宮入り。

わたしの心が無邪気に踊り、日が暮れても遊び続ける子どものようになったとき
そんな瞬間はあっさりとクレヨンや色鉛筆を通して現れてしまう。
それはあまりにも正直すぎて、自分では気付かないほど。

だからわたしは、わたしの描きたいモノを、描きたいトキに、素直に向きあうんだ。

それを「わがまま」と言うなら、それで構わない。
もう扉は開いてしまっていて、わたしは戻る道さえ忘れてしまったんだ。

右往左往してた頃のわたしに、教えてあげよう。

金色に光るイチョウの落ち葉の道しるべだけを頼りに
地図は捨てて、ただ心の向くままに進め。