北バイパスを直線に

イダキ マイラセル

言葉が紡がれるのを待つ忍耐力を
はやる気持ちを見つめるゆとりを
実が熟すときを見落とさぬ観察力を
鏡に自分の姿を写す勇気を

北バイパスを直線に
小高い道を街を見下ろしながら進む

北バイパスを直線に
はじめに目に写るのは
山を切り開いたニュータウン
お山のてっぺんは
中途半端に開拓されてて
小奇麗な家の隣には
切り倒された木の跡
そして
これから切り倒されるであろう何本かの木

そこはわたしの秘密のゲート

北バイパスを直線に
窓を全開にして走る数分間は
わたしにたくさんの閃きと答えをくれる

だいたい毎度訪れる
心の底から溢れ出る感動は
目に写る全てをありのままに受け入れるほど
温かく優しい

ハゲ山になったニュータウンにさえ
そこに暮らすひとたちの会話や
優しい子守唄や
誰かのために作る温かい料理や
「おやすみ」や「おはよう」の挨拶や
ひとそれぞれに生まれ持つ物語が
色鮮やかに賑やかな音を奏でながら
ココにいるわたしに響く

ただ存在するだけでキラキラと輝く少女から
熟成した深みのある女性へ

わたしは笑いながら自分に尋ねる
「がっかりした?」

自分が求めていたゲートは
もっと神聖で精霊に囲まれた森の中だと夢みてた。

夢は夢のままに終わり
あぁ、こんなところに秘密のゲートはあったのか!
と、大笑いしながら
こぼれそうな涙を隠しながら
上を向いて歩くお昼前。

北バイパスを直線に。
あの飛行機雲とは反対方向に。