産まれるということ(ポポちゃん・11)

12月、師走ですね。

冬のピーンと張った空気と
心の何処かで、ついカウントダウンしてしまう・・・
そんなこの季節が大好きです。

さて、出産秘話の続きです。

長女ウサコの時も
長男エイトの時も
マタニティ期には妊婦であることに
気付かれないことが多かったです。

出産してから赤ちゃんを抱いた姿で会うと
「いつの間に?!」と驚かれることもありました。

体質なんでしょうが、
妊娠して5㌔くらい体重が増えると
その後は平行線でした。

体の変化といえば・・・
全面に突き出てくるお腹と
ペチャンコになるおヘソと
張ってくる胸くらいでして。

洋服を着てれば、あまり目立つことがありませんでした。

ポポちゃんは今までで一番長くお腹の中に居てくれて
38週に入る頃、急に腰回りに丸みが出てきました。

前から見ても、後ろから見ても「ザ・妊婦」

これは初めての体験だったのでとても新鮮でした。

勿論、お腹が目立たなくとも「妊婦」という意識はありましたが
お産直前の体のラインは、カラダが満ちてゆくのを感じました。

とても気に入っています☆

町で妊婦さんを見かけて綺麗だなぁ〜と感じるのは
この満ちたカラダから母性とでもいうのでしょうか?
何か出ているのでしょうね。

最後にそんな満ちた感覚を味あわせてくれて
10月30日にポポちゃんは生まれてきました。

その前日までは、以前の記事に書いたように
やるべきことがやってきて
それをサクサクとこなしていたのですが
この日だけは、エイトのお弁当を作ってからは
何もやる気が起こりませんでした。

それで「今日か明日中にはお産かも!」気付いたんですね。

子宮の下のほうが強く張る感覚もあり
ツカちゃんにも伝えてお産の準備を。

動けるうちにツカちゃんは買い出しに行き
わたしは部屋を掃除してしまうと何もやることが無くなり
ゆっくりと手仕事でもしようかな・・・と
編み物を手に取ったりするのですが、ヤル気はゼロ。

何にも興味を持つことが出来ませんでした。

前日までの、サクサクと作業が遂行されてゆく時間の流れとは
全く別の時間の流れを感じました。

言葉にするのは難しいのですが
静かで時間が止まったように感じるけれど
何かが動き出している気配はする・・・。
まるで、嵐の前の静けさのような感じです。

あぁ、ポポちゃんが自分に集中するように言っている。

それで、わたしは何もしないことを決めて
お灸をしたり、お香を焚いて
本をパラパラめくって過ごしました。

「何かいつもと違うなぁ〜と思ったら直ぐに連絡してくださいね。」
と助産師の村上には言われていたのですが
この日の午前中は天草で講演があると聞いていたので
講演が終わるお昼までは連絡しないでおこう、と決めました。

と言うのも、数日前に村上さんが自宅まで来てくれて
お産のシュミレーションをしたんですね。

陣痛が始まった時の注意事項。
お産が始まったら、どんな流れになるのか。
ツカちゃんは何をすればいいのか。

娘のヌイグルミを使って産まれるシュミレーションをしました。

ウサコのリラックマを使って
「こんな感じで頭がでてきて・・・」と
村上さんが実演する姿は何とも面白かったです(笑)

ツカちゃんも一緒にこのシュミレーションを受けられたのは
本当に幸いだったと思います。

もちろん、ポポちゃんには
「明日のシュミレーションまでは、お腹に居てね。」と
話しかけていたので聞いていてくれてたんでしょうね。

シュミレーションをしていたので
「どうすればいいんだろう?」という不安や心配は全くなく
お昼過ぎに連絡すれば大丈夫・・・という自信がありました。

お昼になると陣痛は15分間隔になり始め、村上さんに連絡。
ちょうど講演は終わった所で、直ぐに自宅へ向かってくれました。

その1時間後に、もう一人お世話になる助産師の怒留湯さんが来てくれて
入れ替わるようにツカちゃんは子どもたちを迎えに行きました。

バタバタと早退した子どもたちが帰ってきて
15時頃に村上さんが到着。

みんな揃ったのを確認するように
陣痛が強くなり始めたのを覚えています。

本当に、ここから流れが始まった感じがあり
わたしの意識にも変化がありました。

波のようにやってくる陣痛が10分間隔になった頃に
とても強い痛みの波がやってくるのですが
その時に、ふと「筒になろう」と思いました。

今までポポちゃんは本当にわたしの声を聞いてくれて
完璧なシチュエーションで産まれようとしている。

自宅で家族みんな(愛猫チョコも!)揃ったのを確認するかのように
わたしが望んだ状況が目の前にある。

ポポちゃんは、わたしの願いを全て聞いてくれている。

それを思い出したら、今度はわたしの番だな!という気持ちになったのです。

ポポちゃんが好きなときに
ポポちゃんが好きなように
自由に出ておいで。
本当にありがとう。

だからわたしは、ただの筒になろう。

そんなことを感じたのです。

もうすでに、わたしの意志の及ばない段階にきたことが分かり
流れに身を任せる状態にありました。

本陣痛が始まると、準備していたお布団へ移動して
ツカちゃんに捕まって体を起こしてお産が始まりました。

子どもたちは・・・というと
ウサコは寝転んで漫画アラレちゃんを読んでいて
エイトはミニカーを部屋中に広げて遊んでいましたとさ。

こちらが「ウーン!!」と唸っていても
家の中では日常が繰り広げられていて
それはそれは面白い狀態でした。(笑)

お産はとても神秘的で貴重な体験だけど日常の一部なんだなぁ。
だから逆に些細に感じる日常も神秘的なことに変わりはないのでしょうね。

で、ポポちゃんが産道をグイグイと進み始めると
わたしも野生の部分を発揮!(笑)

今までにない唸り声を聞いて
さすがにウサコ&エイトも集まってきました。

「ほらほら、白い風船みたいなのが見えてきたよ。」と
子どもたちは村上さんと一緒にトンネルの出口の正面に座って
興味津々で見ていたようです。

ウサコ&エイトのお産経験があったにも関わらず
わたしは「陣痛ってこんなに痛かったのか!」と改めて体感しました。
この体験については、また後ほど書きますね。

ただの筒になる!と決めたわたしは
完全にポポちゃんの応援団になっていました。

いきむ度にポポちゃんの頭がグイグイと
小さなトンネルの穴を押してくるのですが
あまりの痛みに「本当にトンネルの扉は開くのだろうか?」と
心配になりながら陣痛の波を超えました。

でも、この扉を開くことができるのはポポちゃんだけ。
わたしはポポちゃんを信じて応援することしか出来ない。

そうすると「ポポちゃん、頑張れー!」しか頭に浮かびませんでした。

わたしが産むのではなく
ポポちゃんが産まれてくる。

トンネルを開くのはポポちゃんの力であって
わたしは応援団でしかない、筒でした。
そのお陰さまか、産後の傷はひとつもなく
ポポちゃんはゆっくりとトンネルを開いてやってきました。

陣痛がピークの時。
わたしの顔を見に来たエイトの姿を一瞬チラリと見てからは
視界には何ひとつ入るものはなく
子どもたちや村上さんの声だけが聞こえていました。

17時ちょうどに破水。

「わー、風船が割れた〜!」と子どもたちが叫んで
ポポちゃんの黒い髪の毛が見えてきて
顔が見えた時には「可愛い〜!!」という
ウサコとエイトの優しい声が聞こえました。

後で考えても、この時に聞いたウサコとエイトの声が
とても印象に残っていて、感動しています。

心からこぼれ落ちるような「可愛い〜!」という声。

それは、言葉を失うような綺麗な夕焼けを見た時に
思考を使うことなく、五感で感動して思わず声が出てしまうような
心から感動している声だったんですね。

その声を聞いてわたしは、とても安心しています。

これから子どもたちは大人になるにつれて
喧嘩もするだろうし、ぶつかり合うことも多々あるでしょう。

でも、ポポちゃんが初めてこの世界に顔を見せた時に
本当に心から「可愛い」と感じたこと。
この体験がウサコとエイトに訪れたことが
この先この子たちは大丈夫だ・・・というわたしの確信になったのです。

・・・で、頭が出てきて子どもたちが感動している間、わたしの方はと言うと
多少楽にはなったものの痛みは治まらず
「まだ?!早く出てきて〜!」というのが心からの叫び(笑)
「次の陣痛まで待てない!」という最後の痛みだったのですが
村上さんが「ふぅー、ふぅー」と呼吸を変えるように伝えてくれて
わたしはいきむのを止めて呼吸を変えました。

そうそう。

シュミレーションの時にも教えてもらったのですが
赤ちゃんの一番大きな部分である「頭」が出てしまえば
あとは重力に任せていきまずに体が出てくるんですね。

で、たいてい赤ちゃんは頭がでると一呼吸休んでから
ゆっくり体をねじって出てくるそうです。

その通りに、ポポちゃんは一呼吸休んでから
ツルン!と最後に体もすべてトンネルから出てきました。

そして大きな産声をあげました。

へその緒がついたまま、すぐに胸に抱いたポポちゃんは
本当に小さくて温かかったです。

脈の音が消えててから、へその緒をツカちゃんが切り
村上さんと怒留湯さんに産後の処理をしてもらいました。

初めて見る胎盤。
ポポちゃんがはいっていた白い風船。
こんな小さなところに入っていたんだね。

わたしとポポちゃんをつないでいたへその緒。
お役目を終えて出てきた胎盤。
お産まで、本当にいろんな体感があったわたしには
ひとつお話が終わったような感じがしました。

それは同時に、新しい始まりの意味も含んでいるのですが
マラソンのゴールとも違って
長い長い川の流れのように感じます。

海を目指して流れてゆく川のように
時に流れを激しくして滝を流れ落ちて
穏やかな流れに戻ってゆく。

そして景色を変えながらも
流れは止まること無く永遠に続いてゆく。

そんな時間の流れを感じました。

お産に立ち会った子どもたちの感想は・・・と言うと。

エイトは「本当に産まれたね〜!」と言って
白い風船が出てくるところから細かく説明してくれました。

ウサコは直ぐにわたしの枕元にやってきて
ポポちゃんをみながら「早く、わたしもお母さんになりたい」
そう言いました。

いつかお母さんになるウサコ。

命が宿って、産まれるというのがどういうことか
きっと彼女なりに感じたことと思います。

だからこそ、本当に大切と思える人と結ばれて
お母さんになってもらいたいものです。

長文、お付き合いありがとうございます☆