末っ子のペイユ

末っ子のペイユは
それはそれは「末っ子」らしい無邪気で純粋で無垢な男の子だった。
5人の兄姉たちは、そんなペイユが可愛くて仕方なかった。

ペイユが遊んで欲しいと言えば、どの兄姉も遊び相手になり
ペイユが聴きたいと言えば、いつまでも歌ってくれた。
ペイユが望めば、どんな願いも叶えてくれた。

そのくらい、ペイユはまわりに愛と光と幸せを与えてくれる存在だった。

ある時、ペイユが遊びに行きたいという公園があったので
兄姉たちはペイユをその公園へ連れて行った。

母親は「気をつけて行ってらっしゃい。」とだけ言うと、子どもたちを見送った。

初めて行くその公園でペイユは色々な遊びを楽しんだ。
ペイユはあまりにも無邪気だったので、兄姉たちが「帰ろう」と言っても聞かなかった。
兄姉たちが困り果てていると母親が来て言った。

「ペイユがまだ遊びたいと言うのなら、遊べばいい。」
「あなたたちは、わたしと家へ帰りましょう。」

兄姉たちは驚いて母親に言った。

「幼いペイユを公園に残すなんて、心配で仕方がない。」
「もし、大きな怪我でもしたらどうするんだ。」

母親は静かに言った。

「あなたたち兄姉たちは、いままでだってペイユの望み通りにしてきたじゃないの。」
「遊びたいというペイユの希望を叶えることに、何の違いがあるの。」

兄姉たちは、納得して母親と家に帰った。

さて、残されたペイユは毎日公園で楽しい時間を過ごした。
時に危ない遊びをして兄姉たちはハラハラしたけれど、母親に
「決して手を貸してはいけないよ、ペイユが望むまではね。」
と言われていたので、静かに見守るだけしか出来なかった。

どのくらい月日が過ぎただろう。

もう子どもではなくなったペイユは悪戯や悪さも覚えた。
そしてたくさん怪我をして病んでもいた。

見守っていた兄姉たちは、そんなペイユを見て心配をした。
そして早く家へ帰ってくるようにペイユを説得しようと考えた。

母親に見つからないように、兄姉たちは姿を変えてペイユのいる公園へ行った。
しかし、姿を変えたためにペイユはそれが兄姉たちであることに気が付かず、
ただの遊び相手だと勘違いをした。

兄姉たちの言葉は大人になったペイユには届くことがなく
兄姉たちは諦めて公園を出た。

それを知った母親は静かに言った。

「たとえどんな悪戯をしようとも、ペイユが望むならさせてあげなさい。」
「あなたたちは今までだって、そうしてきたのでしょう。」
「どんな間違いを犯そうとも、わたしの可愛いペイユには違いないのよ。」

それでも心配な兄姉たちをみて、母親は続けた。

「もし、ペイユが家に帰りたいと本当に思って、自分から公園を出たならば…」

母親は優しく言った。

「その時はあなたたちが迎えに行ってあげなさい。」
「きっと、姿を変えたとしてもペイユはあなたたちが兄姉だということが分かるはずだわ。」

「またペイユがあなたたちの歌を聴きたいとお願いする時がきたら、あなたたちの声は彼に届くでしょう。」