絵本memo- 『くまのプーさん・プー横丁にたった家』

はい、勝手にわたしのオススメ絵本を紹介するコーナーがやってきました☆

さて、今回は4冊目〜☆
誰もが知ってるクマが登場します。

クマのプーさん・プー横丁にたった家

クマのプーさん・プー横丁にたった家

『クマのぷーさん・プー横丁にたった家』(岩波書店)
作・A.A ミルン
訳・石井桃子

誰もが一度は見たことがある、この黄色いクマさん。
そうです、クマのプーさんです。

キャラクターの方が先に入ってきて
お話を読んだことがなか方も結構いるのでは…?と思うほど
大人気ですね、プーさん☆

そのクマのプーさん。
実在していたことを知っていますか?

劇作家だったミルンが一人息子のクリストファーロビンの部屋に集まってくる
ぬいぐるみたちを登場人物にして童話を書きはじめたのが、『クマのプーさん』です。

幼い頃に、誰もが持っていた魔法の世界を
ミルンは個性豊かな登場人物を使って現実にしてしまいます。

そう!たとえ夢のような魔法の世界であっても
子どもたちには現実ですからね。
(その中で生きていますから…☆)

そして大人になったミルンがそうであったように
やはり魔法の世界は、かつて居た世界なんです。

この全集には全部で20個のお話がありますが、最後のお話
「クリストファー・ロビンとプーが、魔法の丘に出かけ ふたりは、いまもそこにおります」
の1話は切ないほどに真実を物語っています。

いつかは大人になり、その魔法の世界を去る日がくる。

子どもはそんなこと知りもせずに魔法の世界の住人になり
ちゃんと「さよなら」も言わずに、いつの間にがその世界を去ってゆきます。

多くのひとがそうであるように
子どもの頃には、そこに気がつくことがありません。

わたしも大人になり、親になり
子どもがまさに目の間で魔法の世界の住人になっている姿を見て思うのです。

あぁ、わたしもこんな時間を過ごしていたな…と。

「クリストファー・ロビンとプーが、魔法の丘に出かけ ふたりは、いまもそこにおります」

このお話は、こんな一節からはじまります。

クリストファー・ロビンは、いってしまうのです。
なぜいってしまうのか、それを、知っている者はありません。
なぜじぶんが、クリストファー・ロビンのいってしまうことを知っているのか、
それを知る者さえ、だれもないのです。
けれども、森じゅうの者は、どういうわけか、ひとりのこらず、
とうとうそういうことになるのだということを知っていました。

そして、いてもたってもいられなくなった森の住人たちは
お別れの詩を書いてクリストファー・ロビンに会いにゆきます。

手紙を受け取ったクリストファー・ロビンは
プーを連れて「魔法の丘」へ出かけます。

しばらくいろんな話をした後に
クリストファー・ロビンは言います。

「ぼく、もうなにもしないでなんか、いられなくなっちゃったんだ。」
「もうちっとも?」
「うん、少しはできるけど。もうそんなことしてちゃいけないんだって。」

プーは、つぎのことばをまっていましたが、またクリストファー・ロビンがだまってしまったので、
「クリストファー・ロビン、なに?」と、力づけるようにいいました。

「プー、ぼくが…あのねえ…ぼくが、なにもしないでなんかいなくなっても、
ときどき、きみ、ここへきてくれる?」
「ぼくだけ?」
「あぁ。」
「あなたも、ここへきますか?」
「ああ、くるよ、ほんとうに。プー、ぼく、くるって約束するよ。」

クリストファー・ロビンには、これから何が起こるのかが分かっていて
プーにはそれが、全く分かっていないのです。
分かっていなのだけど、なんとなく感じているのです。

「プー、ぼくのことをわすれないって、約束しておくれよ。ぼくが百になっても。」
「ぼく、約束します。」

ふたりはそんな約束をします。

それでもクリストファー・ロビンは続けます。

「たとえ、どんなことがあっても、プー、きみはわかってくれるね?」

プーはいつでも、ここにいて
忘れていってしまうのは自分の方であることを
クリストファー・ロビンは知っているのです。

わたしはこの話だけは、読み聞かせながら泣いてしまい
最後までちゃんと読めません(笑)

でも聞いている方のウサコ&エイトは、ケロッとしていて
むしろなぜ、わたしがこんなにも涙が出るのが不思議なようです。

そうなんですね。

いま、まさに魔法の世界をリアルに生きている二人には
まだ理解ができないのだと思います。

ここで感情が揺さぶられるのは
かつて魔法の世界に居たことを覚えている大人だけなんです。

でも、ここでわたしが感じたことは
感情が揺さぶられることを
「悲しい」とか「あの頃は良かった」とか
「大人になることは寂しい」とか
そういう感情のジャッジをするのではなく
「揺さぶる何かが胸のあたりに生まれた」こと自体に意味がある。

そして、魔法の世界を体験したことのないひとなんて誰も居ないので
すべてのひとに、何かしら心に振動が起こると思います。

「切ない感じ」かもしれないし
「照れくさい感じ」かもしれない。

「悲しい感じ」かもしれないし
「抵抗感」を抱くひともいるかもしれません。

その感情の名前なんて、どうだっていい訳で(笑)
何かしらの反応があること自体に意味があると思っています。

揺さぶる何かが生まれることは
かつて魔法の世界にいた何よりの証拠です。

わたしの場合は、お話したように涙が溢れるほどに
胸のあたりがギューっとなり切ない感じがしました。
そして同時に嬉しい気持ちにもなったのです。

あぁ、わたしちゃんと魔法の世界に住んでたんだな。

「さよなら」には、悲しさがフォーカスされがちですが
同時に喜びも含んでいます。

よく言われる「陰と陽」ですね。
本当にすべてにこの2つは存在しているんだな〜と感じます。

クマのプーさんについて語り出したらとまらないわたしですが(笑)
本当に、この物語には素敵なメッセージがたくさん入っています。

作者のミルンや、翻訳者の石井桃子さんの優しさを感じます。
(そうそう、翻訳も実は重要なんです!またの機会のお話します☆)

そのあとクリストファー・ロビンとプーは魔法の丘を出ます。

最後の1節には、ミルンの人柄がよく表れているな…と感動します

ふたりは出かけました。
ふたりのいったさきがどこであろうと、
またその途中にどんなことがおころうと、
あの森の魔法の場所には、
ひとりの少年とその子のクマが、いつもあそんでいることでしょう。

大人でも十分楽しめる1冊です。
「クマのプーさん」はいろいろな本が出てますが
原作を読むのを勧めします☆

ついついカラフルな色使いの絵本に惹かれがちですが
絵の少ない原作であっても、4歳の息子はプーさんの世界を楽しんでいます。

キャラクターを全面に出した、いわゆるアニメ版みたいな絵本を
わたしは否定しませんが、正直に言うと何も感じません(笑)

薄っぺらい感じがするというか
内容がまったく無いというか
面白さをまったく感じないのです。

確かに原作版は絵も少なければ、字も多いいし
「難しそう!」というイメージを抱くかもしれません。

1つのお話を読み聞かせるのには、長いな…と感じる場合は
きりのいい場所でシオリをしてもいいと思います。

読み手の自分が楽しめていることが何よりも大切ですからね☆

大人も魔法の世界の住人になれる絵本タイムは有り難いですね!