春にビービー鳴いていた子どもたちは
いつの間にか大きくなり
兄弟たちと共に
巣から飛び立った。
はじめは心細さに群れていたツバメも
秋の風を感じる頃に
それぞれの場所へと向かった。
夏の賑やかな空と違って
ちょっと高くなった空は
優しいけれど厳しい風で
「さぁ、行くのですよ」
と、ツバメたちを
それぞれの場所へと向かわせた。
ツバメはまだ知らない初めての冬を
ひとりで超えるのです。
葉をすっかり落とした樹は
不思議そうに空に尋ねた。
「どうして、そんなに厳しい風を吹かせるのですか?
まだ、こんなにも小さい彼らに」
空がそれに答えるように
枝を優しく揺らすように風を送ると
樹は何かを思い出し
それ以上、空に話しかけることをやめた。
春を待ちわびる、まだ見ぬ新しい芽が
何も知らずに
それでも
ちゃんと全てを知って
安心したように眠っているのです。
そこには「信頼」という名の「命」しか無かった。
そこには「信頼」という名の「愛」しか無かった。
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